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上京

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専門学校へ行く

高校卒業して東京の音響の専門学校に行くために上京した。

兎に角、親元を離れて暮らしたかったし、バンドのメンバーも東京の音響の学校に行くことになったので僕も便乗した。

本当はプロのミュージシャンになりたかっただけなのだが、どうすれば良いかわからなかった。

漠然と東京に行けば、その後の道は大阪に居続けるよりも可能性がある、という安易な考えでいた。

若いころの多く人間は安易な考えを持っているが、僕の場合、それはズバぬけていたのは確信している。

これからミュージシャンになる為、あえて親元を離れ茨の道を突き進むさきがけとして、青春18切符を買い、各駅停車で大阪から東京に行った。

親に迷惑はかけられない!すべて金銭面は親におんぶに抱っこだからだ。

上京しても勿論アルバイトをし、小遣いぐらいは自分で稼ぐつもりだったが、父はクレジットカードを東京に行く前にもたせてくれた。 

困ったことがあればこれをつかえ!と・・・・始めて見たクレジットカード。

こんなものが困ったときに助けになるのかと・・・???

しかし・・・・

そのカードは使わなかった・・・いや使えなかった・・・・

いや、使い方が分からなかった・・・・・からだった。

学生寮での寝言

府中の学生寮に住んだ。勿論、相部屋!

人と住むのは好まなかったがしょうがない。生活費が最小限に抑えられる道は寮に住むことだ!

親にこれ以上迷惑かけられない!!

部屋は3人部屋で、埼玉出身の先輩と京都出身のオカマっぽい同期と・・・・・・。

その先輩の寝言がすごかった。まるで・・・・起きているようだった。

始めは我慢したが・・・・限界が来たとき同期に、「寝言と会話すると、寝ている人は死んでしまうって聞いたことあるか?」と尋ねてみた。 

京都ボーイは聞いたことがあった。

ヨーシッ!!迷惑な寝言の対処しよう!

そしてその言い伝えは本当かどうか確かめてみよう!・・・・・

起こさないように恐る恐る小声で、その寝言に対して二人で返答した・・・

ある会話は成立しある会話はなんだか分からない・・・・

が15分以上続けたが死ぬ気配が無い。

寝言と話すのもなかなか疲れてくる。そして眠る。

その後、先輩の迷惑な寝言は続いた。何度か話かけることを試みたが死ななかった。

話しかけるのもつまらなくなった。

それからしばらく寝られるまでの時間つぶしにそっとギターを弾いていた。

自分ではこっそり弾いていたつもりだが、その音は他の部屋にかすかに漏れていた。

いつのまにか、僕はホウイチと影でよばれるようになってしまった。

暗闇の中、そのギターの音色は琵琶の音と化してしまったのだ。そう、僕は耳なし法一になってしまったのだ。

この寮で勉強になったことは、暗闇でのギターは恐怖を誘い、”寝言に話すべからず!”

の言い伝えは迷信であると理解した。

一人暮らし

寮の門限が10時だったので、アルバイトができなかった。小遣いを自分で稼ぐとの理由で一人暮らしの許可を親に嘆願した。一年間の寮費は払ってある・・・。

客観視すればこれは無駄ではないのか!?

他人と暮らすのが飽きただけなのだ!

大義名分でアルバイトをする!本当に安易だ!

一年の夏休み、帰坂しアパートに掛かる費用を鉄鋼所で捻出した。

 

寮に居たときは、寮長がいたし、普段の日は届出を出さない限り、寮内には居られないので、辛うじて学校に行くことだけは続けられた。これがまだ良かった。

しかし、素行の悪い幼稚な考え方の人間が一人暮らしをするということ、それは底なしに堕落していくと言うこだ。

アパートのロケーションは良かった。

板橋の4畳半・風呂なし・トイレ共同・家賃3万円・大山駅から徒歩1分、初めて持った自分の城だった。狭かったが嬉しかった。何か自分が大人になったような錯覚を起こした。

ハッピーロードには玉突きやもあり、生活するには超便利なところだった。

学校は代々木だし遠くない、若者の聖地である原宿スエヒロで皿洗いのバイトにも決まった。

原宿でバイト!響きは良い、体裁が良い、自慢できる!

まさに、お上り感覚を持ち合わせた幼稚な人格だ。

当時、景気も今よりはるかに良く、客入りも良く、土日には100万円の売り上げを超える日が頻繁だった。

バイトは最初週末だけだったが平日も頼まれ、休みなし!・・・

帰りも11時すぎになるから風呂にもいけず、帰ってから部屋でお湯を沸かして、新聞を引いて、キッチンのそばで器用に体を洗った。

頼りにされるのが少しうれしくて、学業よりもバイトを優先してしまった。

遊ぶ時間が無いから学校にも行かなくなる。本末転倒だ!!!

蓋を開ければ留年決定!!専門学校で留年なんて聞いたことが無い・・・。

親父に連絡され酷く怒られた。

これで東京生活が一年と持たないうちに終盤を迎えることになった。

親にお金を無駄に使わせただけ! ああ、情けない!!!

 

せやかて・・・・・・いつも起きたら昼過ぎで、学校なんかに行かれへんかってんもん!