80's
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不思議なバブル
時は80年代、好景気に人々は浮かれ、金の価値の感覚が麻痺していた 頃。
若造たちや成熟した大人もセカンドバックを持ち、袖の長いダブルのスーツを着て高級外車を乗り回し、女は真っ赤なルージュで太い眉を描き、ウルトラ警備隊のような肩パッドが入った服を着ていた頃。これが80年代である。
しかしなぜか時代に逆行し、50年代の音楽が巷では流行っていた。
アメリカンなカフェやレストラン、ファミレスなんかもアメリカの庶民的なレストラン、ダイナーを意識して作られていたのだろう。
古着なんかも流行りだしたのもこの頃だ。
どんな商売も放っておいても上手くいった時代だ。
そこで一代(一財産)を築いた人間の多くは勘違いをしていた時代・・・。
あのバブルである。
ディスコ(今で言うクラブ)や様々な飲食店の方針は客が店を選ぶのでは無く、店が客を選ぶと豪語していたのである。
店にそぐわない風貌・・・ジーンズを穿いているとか、サンダル履きとかのファッションの人間を排除したのである。
オールディーズ(Oldies)の音楽の店も、其の中の1つで、ジーンズでは入店できなかった。おまけに長髪も駄目!30年前のシンガポールか!!
アメリカ発の音楽でアメリカ発のジーンズファション・・・入店お断り・・・可笑しな話だ。
日本人はジーンズのファッションを、今でもなぜか見下している。
タイなんかはジーンズ穿きはフォーマルでもOKだ。ただ上着は、長袖シャツやポロなどは着なくてはならないが・・・。
勿論、靴も大事だけど・・・。
ファションは自由だ!!!
ある日、その類の店は入店制限があることを知らずに、友人Mとシチュードベイカーズ(アメリカンカフェダイナー)に行くことになった。
トムクルーズの映画、“カクテル”のような派手なアクションでカクテルを作るショーが、そこの目玉でもあった。
其の友人Mは、長髪、ワンレグ、ジーパンにビーサン。まっ黄色のヨットコートという出で立ち、そんなファッションだった。
その当時としてはキテレツで斬新で時代を先取りしていたが・・・。
今の時代は分からないが元々人と違うことを好まない人種が日本人である。
ニューヨークだったら兎も角、早すぎるニューウェイブは日本の一地方都市では通用しなかった。
ブルースリーだって彼が死んでから世界中にムーブメントを起こした・・・。
関係ないが・・・。
その後にロンゲのブームがやって来ることをその時は、誰もが知る余地もなかっんだが・・・。
これって人種差別なのか!!?
僕は普通にリーバイス501ジーンズ、Tシャツに革ジャンにコンバースのスニーカーだった。アメリカンである・・・。
入店時、ヤケに気取っていたシチュードベイカーズのダブルのスーツを着たスタッフ、
つまり店員、もう1つ言うと、ダスキンの社員に目で友人Mを差し、「このようなファッションを方はお断りしています。」と丁寧な御言葉で入店を拒否された。
その眼差しは勿論、見下していた。
たかが喫茶店に毛が生えたような店のクセに!!値打ちを付けやがる!!
我々は1000円そこそこのチョコシェイクやカクテルぐらいは払えるだけの金は持ち合わせている!いや、ソープだっていける金は持っていた!!
外見だけで判断する、そんな客が入店すると店の品位が下がると言わんばかりに!!
Mは冷静さを失っていた。
気取った店員に突っかかって紳士的ではない大阪弁で問いただす!
「どういうコンセプトでこのようなことをしているのか」と!!!
勿論、納得のいく答えなどもらえない!システムだからしょうがない・・・。
50‘sはここだけではない!!押し問答は時間の無駄だからモードを切り替えよう。
Mの気持ちは納まらない。拳を握り締め“今日はなんとしてもオールディーズだ!!!
ロックンロールの気分だ!エルビスを感じるんだ!!
近くに梅田ケントスがある!!
そこで見よう、オールディーズ!!!ということになった。
店先でダブルのスーツに身をまとった店員が・・・「恐れ入りますがこのようなファションの・・・」
おんなじマニュアルかぁ!?
そのマニュアルは紀伊国屋かどこかで手に入るのか!!??
Mは鼻に穴が2つあるのにもかかわらずマックスまでその鼻を膨らませ、そして爆発!!!
今にも殴り掛かろかと思うぐらいの勢いで、「なにがあかんねん!ボケ!!」
その通りだ!たかがアメリカの古い音楽のライブハウスなのに値打ちを付けやがる!!
ここでこんな寛容でないマニュアルどおりの店員と空虚な言い争いをしていても時間の無駄だ。彼らも、いち雇われ人、会社の方針に従うのみだ!!モードを変えよう・・・。
待ってろエルビス!
落ち着け!!深呼吸をして心拍を下げよう!!
鼻から吸って、口から吐くを3回やって・・・・3度目の正直だ!
池田にマーキーズというライブハウスがある!
そこに行けばきっとファッションを気にせず入れるしロックンロールが聞ける筈!!
待ってろエルビス!!
自分の中で見下しやがって!クソ!!金ならある!
ということを知らしめたっかたのだろうか・・?
本来だったら電車で行くところだが、頭に血が上っていたのでタクシー移動だ!
新御堂筋から中央環状、176号線とタクシーを飛ばし店の前に到着!!
・・・・・・・・・・・・・・・・真っ暗だった・・・。
そう、定休日であった。運悪く休み・・・。
2度あることは3度あるバージョンのほうだった。
沈黙の入店拒否だ・・・・エルビスぅ・・・・歯を食いしばった。
散々だった・・・醜態ついて其の店に迷惑をかけたのであれば納得も行くが、見かけだけで入店を断られるそんな世の中はいかがなものか・・・・?
何かが可笑しいと感じたが、そんな世の中だから恩恵も被れたのは事実だ。
僕はそんなオールディズのハコバンのレギュラーだったのだから・・・・
ハコバンとはライブハウスの専属のバンドである。