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ミュージシャンとして2

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子供向けのイベントのバンド

その当時は景気が良かったお陰で、僕みたいな半端モノでも音楽で仕事することは難しくなかった。

週末が来ると何処かで客寄せのためにイベントが開催されていた。

関西中心でスーパーやモールのセールなどで仮面ライダーショー、テレビのヒーローショー、あの類だ。

ヒーローではないが、クマのぬいぐるみを被り、そこのバンドで子供向きの音楽、森の熊さんやドラえもんなどを演奏する仕事を貰った。

クマのデカイぬいぐるみを被ると、視野は狭かったが口から前を見ることが出来た。

しかし、ギターを弾く手元は、角度が違うので殆ど見えない。

利点は顔の裏側に譜面を貼り付けること!・・・利点???

衣装はダブダブの衣装で手だけは楽器を弾かないといけないため、普通に開けられていて、見た目は二足歩行のクマだけど手だけは人間であった。

すこしい違和感があるが、メルヘンの世界では何でもありだ。

“ふなっしー”の手が普通の人間の手だったら、人気は出ていなかったかも・・・、とふと思ったりする・・・。

酸化した汗は悪臭を帯びる

それはともかく、そのクマのぬいぐるみが異常な臭気を帯びていた。

初めて被った時、その異常さに思わず嘔吐してしまった。

しかし、被らなければ仕事にならない。息を止めても、精々1分・・・。

デオドラントスプレーをしても6~7分後には元の凄まじい悪臭に戻る・・・。

ステージは7曲ある!無理だ!鼻にティシュをつめて口呼吸で凌ごう!!、と長年この仕事をしているメンバーにアドバイスを貰い、デオドラントスプレーを借りて海底にもぐる潜水夫のように、その大きなクマのぬいぐるみを被ってステージにあがったのである。

アホは接続詞???

こんなことをしないといけないのかと思った瞬間、子供たちの歓声と共に罵声も飛び込んでくる。小学校の高学年ともなるとそんなぬいぐるみを着た人間を馬鹿にし、からかうのである!!

「あほ!!あほや!!こんなんきて・・・ようやるわ・・・あほ・・・」

クソ!真理をつきやかって!!

悪臭を帯びたクマのぬいぐるみを被り、お前らのような幼稚な人間に対して演奏し、丸一日拘束され、機材を運び、音響のセッテングを自分たちでし、ギャラは8千円だ!

ぬいぐるみを唯一被っていない歌のお姉さんが、子供たちにそれぞれの楽器の音色の紹介をする。他のメンバーは子供ウケのするゲゲゲの鬼太郎などを演奏する・・・。

「さぁ、みんなベースの音はどんなのかな?」なんて・・・。

「げっ、げっ、げげげのげ・・・」

子供たちもベースの音に合わせて歌いだす!!ウケている!!!

幼児ならびに低学年は楽しんでいる。

しかし、高学年は・・・あほや・・・まだ止まない罵声・・・・あほ!!

僕の番が来た!!ギターはどんな音かな???

子供たちにギターのカッコよさを教えてやる!!音楽は素晴らしいぞ!!

山下達郎のかっこいいカッテング代表的な曲、スパークルのイントロ4小節を引く!

終った・・・。

シーン・・・。

ウケいていない、スベった感満載・・・。

其の時、「あほ!!・・・・・あほ!!・・・・あほ!!」

あほ言うもんがあほじゃ!!心で思った・・・

そのガキたちは演奏の間中、関西では挨拶的に使うをネガティブな言葉を投げかけた。

関西では文の間で使う其の意味はアホという意図的に使われるのではなく、接続詞的に文と文をつなげるために使われることが多い。

「ナにいうてんねん!?あほ、ちゃうがな!!」的な・・・。

これは意味の無い接続詞、と他県の人には理解して欲しい。

しかしながらこの事案はまったくといってそれとは異なっていたのである!

単発で使う其の言葉の意味は、人を軽視する、見下す、其の意味である。

それも連呼する。これは正に今、馬鹿にされているのである。

子どもたちとのふれあい

演奏が終わり子供たちとふれあいタイム!!

子供たちがやって来て抱きついたり、抱っこしたりする戯れの時間だ。 

あの高学年がクマたちを馬鹿にしにやって来た。こちらの風貌は可愛いクマが笑っている。そいつらはバンドの臭いかぶりモノをした大人たちナメきっている。

いや、大人であるという認識すらない!

可愛いクマにキックが飛んで来る!!!

クマの表情は変わらない・・・。

可愛いにこやかなクマたちはクソガキに65パーセントの力でヘッドロック!!!

戯れを装い、少しクソガキを左右に振る・・・。

クマの表情は変わらない・・・・

誰から見てもクマは子もたちと遊んでいる光景だ!!!

そして小声で・・・、「お前、学校どこや?!!何年じゃ?!!!」

もう一遍蹴ったら泣かすぞ!!!おらぁ!!!と凄んでやった。

そして、一度75パーセントの力で強めに締めてから開放した・・・。

クソガキは可愛いクマを情けない顔で睨み、少し涙をうかべた。

半泣き状態で、そこから逃げ出すように走り出した瞬間、「あほ!!!!!!!!!覚えとけ!!」って叫んで行ってしまった・・・。

接続詞ではない意味の言葉を連呼し、姿を消して行ったのだった。